矯正歯科医院には、子どもの歯並びに関する相談が多く寄せられます。実は、よくない噛み合わせには思いがけない原因があります。それは、「口呼吸」です。
花がよくつまったり、口をポカンと開けていたり、姿勢が前かがみになったりしている子どもの多くは、口で呼吸をしています。
では、歯並びと口呼吸にはどんな関係があるのでしょうか。
口呼吸をしているかどうか、それはふだんの様子や話し方、歯並びや下の位置でわかります。
子どもの癖や状態をチェックしてみましょう。2つ以上当てはまれば「口呼吸」かもしれません。
口呼吸をしていると、歯並びに悪影響をもたらします。
「なんで口呼吸をしていると、歯並びに悪影響なの?」と思われる方は少なくないと思います。
それは、下記のような流れで歯並びに影響を与えるのです。
子どものあごの骨格は成長途上なので、この時期に上顎を広げて歯並びを整える治療をすることが理想的です。
子どもと大人の上顎は、構造が違います。上顎の天井の骨は、左右の骨が中央の「正中口蓋縫合」というつなぎ目でくっついていますが、子どもの頃は、このつなぎ目が完全な骨ではなく、ゼリーのようなやわらかい状態です。
成長とともに、縫合部は新しい骨を作りながら、固く複雑に接合していきます。
この段階で上の歯にスケルトンタイプの固定式拡大装置を装着すると、上顎の骨を左右に引き離す力が働き、縫合部が刺激されて、新しい骨が作られます。
新しい骨が広がったつなぎ目を埋め、上顎をさらに大きく成長させていきます。同時に歯列が広がり、歯が並ぶ場所が増えるので、矯正歯科治療においても有利になります。上顎の天井が広がれば、天井裏の鼻腔(空気の通り道)も広がります。
したがって、鼻で楽に息ができるようになり、口呼吸を改善する環境が整うのです。